ウクライナにはバイデン親子を捜査する法的根拠がない=ルツェンコ前検事総長
ルツェンコ氏がBBCウクライナ語版にコメントした。
ルツェンコ氏は、「私は、ジョー・バイデン氏なり、ハンター・バイデン氏なりに関して捜査を行うウクライナ国内法上の根拠を一切知らない」と発言した。
またルツェンコ氏は、バイデン親子に関わる捜査は「米国の司法管轄だ」と指摘した。加えて、ハンター・バイデン氏が取締役を務めていたBurisma社にて行われた可能性のある汚職行為は、ハンター氏が取締役になる2、3年前に起きたものだと発言した。
ルツェンコ氏はまた、ジュリアーニ弁護士と会った際に同弁護士がウクライナでバイデン親子に関する捜査は実施可能かと尋ねたとし、「私は、今あなたに述べたのと同じこと、それは私の管轄ではない、と彼(ジュリアーニ氏)にも述べたのだ。それは米国の司法管轄だ、と。もしあなた方が申請をすれば、私はあなたに公式の情報を全て提供する、しかし、それはウクライナの司法管轄ではない。このように私は返答したのだ」と発言した。
そして、同氏は、「私は、ウクライナ国内法に関係のないことは何もできない」と補足した。
なお、米国では、9月24日に、下院議長によりトランプ大統領の弾劾手続きの開始が発表されたが、それはトランプ大統領が、7月25日のゼレンシキー大統領との電話会談で、2020年大統領選の主要対抗馬といわれる民主党のバイデン氏につき、ウクライナ側での捜査可能性に言及したことがきっかけとなっている。9月25日、ホワイトハウスはこの両首脳電話会談の記録を公開している。また、トランプ氏がこの電話会談の前に対ウクライナ軍事支援の決定を止めていたことから、この支援を交渉の道具に使った疑いも批判の対象となっている。
ゼレンシキー大統領は、本件につきトランプ大統領から圧力は受けていないと発言している。
トランプ大統領は、バイデン氏が、オバマ政権下で副大統領を務めていた2016年にウクライナのヴィクトル・ショーキン(当時)検事総長の解任を支持したのは、同検事総長が自身の息子であるハンター・バイデン氏の勤めるガス企業Burisma社の捜査を行っていたからだとの予想を述べている。
ハンター・バイデン氏は、2014年にBurisma社の取締役となっている。当時、ジョー・バイデン氏は、米国政治においてウクライナ問題に携わるキーパーソンであった。
なお、本年8月、米国の情報機関職員が、トランプ大統領が、2020年米国選挙に「他国の介入」につき合意すべく、自らの権限を使ったとし、「緊急の懸念」を表明する内部告発をしている。これを受け、米国民主党勢力は、他国からバイデン氏の権威失墜を目的として、他国からの支援を得ようとする試みは違法であるとして、トランプ氏を断罪している。
トランプ氏は、自らへのいずれの断罪も「魔女狩りだ」として批判している。